丈夫な猫っているの?

獣医師と猫
猫の体の強さは何で決まるのでしょうか。その理由の一つに、混血か純血種かという“品種”の問題があります。

混血種が丈夫と言われる理由

混血種とは、さまざまな種の血が入り混じった猫のことを指します。野良猫に多い雑種やミックスも混血種の仲間です。

これらの猫はさまざまな品種の遺伝子を受け継いでいるため、純血種特有の遺伝的疾患が出にくく、長生き傾向とされています。

純血種が弱いというわけではない

一方、ブリーダーやペットショップで扱われている人気の猫種のほとんどは純血種。血統登録機関の認定を受けており、猫種特有の毛色や体格、容貌の特徴を持つものが多いです。

これらの純血種は、同じ品種同士を掛け合わせて生まれるため、容姿の美しさやよい面も受け継がれる反面、特定の遺伝疾患や欠陥も受け継がれやすいという弱みがあります。

しかし、純血種だからといって一概に体が弱いとは言えず、遺伝的疾患が少ない猫種や、混血種よりも長生きする子は数多く存在します。最近では親猫の遺伝病検査により、遺伝病疾患のリスクを調べるブリーダーも増えてきました。

猫種ごとの平均寿命

置時計と猫
純血種のなかでも猫種によって平均寿命は変わってきます。 
ペット保険会社の「アニコム損保」の調査では、猫全体の平均寿命は14.7歳とされています。また、猫種によって寿命に違いがあることが明らかになっています。
参考文献
アニコム家庭どうぶつ白書(https://www.anicom-page.com/hakusho/

人気の純血種の平均寿命は?

人気の猫種の平均寿命をご紹介します。
ペルシャ(チンチラ)14.2歳
アメリカンショートヘア13.8歳
ラグドール15.9歳
スコティッシュフォールド13.9歳
ロシアンブルー14.0歳
ノルウェージャンフォレストキャット14.0歳
メインクーン13.0歳
マンチカン14.0歳


もちろん、これらはあくまで平均寿命のため、生まれ持った体質や飼育環境によっては、これ以上長生きする猫も少なくありません。平均寿命はあくまで参考程度に考えておいてくださいね。

健康な子猫の見分け方

バスケットに入っている4頭の子猫
たとえ同じ猫種や、同じ親から生まれた兄弟同士であっても、生き物である以上、健康状態にも差が出ることは否めません。できるだけ丈夫で健康な子猫をお迎えしたいものですが、一体どのように見分ければよいのでしょうか。
健康な子猫を選ぶためのポイントを詳しく解説します。

チェックポイント1.目

  • イキイキと輝いている
  • 充血や傷などは見られない
  • 異常なほど目ヤニが出ていたり、涙で目の周りが濡れていたりしない
  • 目を痒がる様子はない
  • 嫌なにおいはしない
  • 白目の色が黄色っぽかったり、眼球が白く濁っていたりしない

チェックポイント2.鼻

  • 適度に湿っている
  • 水または膿のような鼻水が出ていない
  • 鼻血が出ていない
  • ひび割れや傷は見られない

チェックポイント3.皮膚・被毛

  • 毛ヅヤがよく、柔らかく滑らかな手触り
  • フケや皮膚の異常(赤み・ただれなど)は見られない
  • 体を極度に痒がったり、噛んだりする様子はない
  • ノミやダニが付いていない
  • 脱毛症は見られない
  • 異常なにおいはしない
  • お尻まわりが排泄物で汚れていない

チェックポイント4.歩き方

  • 四肢がしっかりしている
  • 歩行時にふらついたりしない
  • 足を触っても痛がらない
  • 骨や筋肉に異常がない
※歩き方をチェックするだけでなく、実際に抱き上げてみておかしな点がないか確認しましょう。

チェックポイント5.遺伝子検査の有無

  • 検査をしているか
  • 検査済の場合、結果に異状は見られないか
  • 未検査の場合、検査予定はあるのか、検査をしてもらえるのか

遺伝子検査とは

「遺伝子検査」とは、猫に遺伝的な疾患や欠陥がないかチェックする検査のことです。
猫の口内の粘膜からを細胞採取する方法は、検査による体への負担も少なく済みます。

検査項目は猫種によりさまざまですが、例えば「ピルピン酸キナーゼ欠損症」「多発性膿疱腎」「肥大型心筋症」など、特に純血種の猫で発症率が高いとされる病気や疾患のリスクについて調べられます。

猫を健康で長生きさせるコツ

聴診器と猫
猫の寿命を決めるのは、品種やもともとの体質だけではありません。飼い主さんの意識や行動次第で、猫の寿命も変わってくるものです。
最後に、猫を健康で長生きさせるための飼育方法をご紹介します。

完全室内飼いにする

外で生きることにはたくさんの危険が伴います。感染症にかかってしまったり、ノミやダニに寄生されてしまったりするだけでなく、他の猫とのケンカによりケガをする、交通事故にあうなどの危険があり、最悪命を落としてしまうこともあるのです。

完全室内飼いと外飼いの猫では、寿命が大きく変わるということも言われています。
猫を飼うときには、脱走対策を万全にしたうえで「完全室内飼い」を徹底しましょう。

良質なフードを与える

猫の健康維持のためには、必要な栄養素を含んだ良質なフードを選びましょう。
  • グレイン(穀物)フリー
  • アレルギーになりにくい
  • 余計な添加物を含まない
  • ヒューマングレード(人間が食べても問題がない品質の原材料を使用)
といったポイントをチェックしてみてください。

上記のような特徴はいわゆる高質フードと呼ばれる高価なフードに多いですが、高いからと言って必ずしも愛猫にとってよいものであるとは限りません。消化がよく、猫の体質に合うものを選びましょう。

ストレスを減らす

「ストレスは万病のもと」と言いますが、これは猫の場合にも当てはまります。
とてもマイペースに見える猫ですが、実は環境の変化に敏感な動物です。猫にストレスがかかるような生活を強いていないか注意し、快適な居住環境を作ってあげましょう。

<猫のストレスを軽減するチェックポイント>
  • 安心して静かに過ごせるスペースや寝床が確保されている
  • 猫の居住スペースやトイレはいつも清潔である
  • 室温は適切になっている(20~25℃)
  • ケージやベッドは直接空調が当たる場所にない
  • 同居の猫や犬との相性は悪くない
  • 構いすぎたり、逆に放置しすぎたりしていない
  • 頭ごなしに怒鳴ったり、猫の嫌がることをしたりしていない
  • 騒音や振動など、猫の生活を脅かすものがない
  • 適度な遊び時間を確保している
  • キャットタワーやおもちゃで運動不足解消ができている

まとめ

4頭の猫
丈夫な猫種や健康な子猫の見分け方について解説しました。大まかな傾向はあるとはいえ、猫の体質には個体差があるため一概にどの子、どの猫種が長生きとは言いきれません。

子猫をお迎えするときには、実際に様子をチェックして、健康面に異常がないか確認するのが最良と言えるでしょう。

また、飼育環境といった後天的要素も、猫の健康や寿命を左右する大切な要素です。ぜひこの記事の内容も参考に、子猫の飼育について考えてみてはいかがでしょうか。